高プロトン伝導性固体高分子形電解質膜

2023/09/14 10:22 By Tech Manage

プロトン性官能基を高密度で有する高分子電解質膜(PEM)

Advantages

  • パーフルオロカーボン系より高いイオン伝導度
  • 低加湿・100℃以上運転での適用可能性
  • フッ素を使用しないため低環境負荷

Background and Technology

固体高分子型燃料電池(PEMFC)やPEM型水電解のPEMにはNafionに代表されるパーフルオロカーボン(PFC)系が用いられているが、PFCは製造コスト・環境負荷において課題があり、ゆえに炭化水素系PEMの開発が行われてきたが、プロトン伝導性や耐久性等において十分な性能を示す代替製品は存在しない。また、NEDOロードマップで2030年頃の目標とされる運転温度120℃、湿度(RH)30%の条件でPFC系PEMは著しい伝導性低下の問題を有しており、根本的な解決が望まれている。
従来PEMは重合後にプロトン伝導性官能基を導入しており、プロトン伝導性官能基を高密度化するには限界があった(図a)。
本発明では、保護されたプロトン伝導性官能基を有するモノマーを重合させることで、従来の5倍以上のプロトン伝導性官能基を付与できるため、十分な水存在下では、極めて高いプロトン伝導度(~1 S/cm)を実現でき、さらに水が十分に存在しない条件でもホッピング機構による十分なプロトン伝導性が期待される(図b)

【データ】 
・80℃、90%RH(燃料電池の一般的な運転条件)で0.93 S/cm(Nafionの6倍)、60%RHで0.15 S/cm(Nafionの3倍)のイオン伝導性

Expectations

・PEM開発企業、PEFC/PEM型水電解システム開発企業との協働を希望します。
・更に改良した技術を開発中であり、秘密保持契約により追加情報を提供できます。
・野呂先生とのコンフィデンシャル/ノンコンフィデンシャル面談をアレンジ可能です。

Publications

特許:WO/2023/120731 
論文:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsapm.3c00150
プレスリリース:https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2023/04/post-486.html

Researchers

野呂篤史 講師(名古屋大学 大学院工学研究科)

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