超臨界流体による有機物(脂溶性)の高感度質量分析

2022/02/21 11:49 By Tech Manage

超臨界流体抽出/クロマトグラフィー(SFE/SFC)とプロトン移動反応(PTR)  
質量分析(MS)の連結により、LC/MSの速度とGC/MSの感度を実現

Advantages

  • 脂質/脂肪酸の検出感度を数ケタ改善
  • 確立された要素技術(SFE/SFC、PTR、MS)の組み合わせにより低コストで開発可能

Background and Technology

 超臨界流体抽出/クロマトグラフィー(SFE/SFC)は主に二酸化炭素を溶媒として用いる分離分析技術である。 SFE は溶媒の温度と圧力を制御することで物質を選択的に溶解し、移送、析出させることができる。 これに接続するSFC は HPLC に比べて高いカラム効率を容易に得ることができ、単純な減圧機構で溶質分子を真空中に開放させることで、PTRによる高いイオン化効率が達成できる。 従来の大気圧イオン化法では減圧過程での溶質の析出防止や、イオン化に必要な有機溶媒を混合する機構のため、ピーク分離を損なわずにイオン化を行うには複雑な構造と高度なエンジニアリングが必要であった。 PTRイオン化質量分析は、かねてより、大気中の揮発性有機物の高感度リアルタイムモニタリングに応用されており、これを SFE/SFC と組み合わせることで分子量 1000 以上の有機化合物を検出できるようにした。   SFE/SFCとPTR イオン化質量分析とを組み合わせたSFC/SFE-PTRイオン化質量分析は、①超臨界流体中の溶質を、閉じた真空空間に直接に開放し溶質分子をイオン化するため、極めて単純な機構でイオン源が構成でき、②溶媒として用いる二酸化炭素がイオン化されないため目的物質の質量分析を邪魔しない、というメリットがあり、物質によっては従来の1000倍の感度で検出できる。
 超臨界流体抽出/クロマトグラフィー(SFE/SFC)は主に二酸化炭素を溶媒として用いる分離分析技術である。
SFE は溶媒の温度と圧力を制御することで物質を選択的に溶解し、移送、析出させることができる。
これに接続するSFC は HPLC に比べて高いカラム効率を容易に得ることができ、単純な減圧機構で溶質分子を真空中に開放させることで、PTRによる高いイオン化効率が達成できる。
従来の大気圧イオン化法では減圧過程での溶質の析出防止や、イオン化に必要な有機溶媒を混合する機構のため、ピーク分離を損なわずにイオン化を行うには複雑な構造と高度なエンジニアリングが必要であった。
PTRイオン化質量分析は、かねてより、大気中の揮発性有機物の高感度リアルタイムモニタリングに応用されており、これを SFE/SFC と組み合わせることで分子量 1000 以上の有機化合物を検出できるようにした。

 SFE/SFCとPTR イオン化質量分析とを組み合わせたSFC/SFE-PTRイオン化質量分析は、①超臨界流体中の溶質を、閉じた真空空間に直接に開放し溶質分子をイオン化するため、極めて単純な機構でイオン源が構成でき、②溶媒として用いる二酸化炭素がイオン化されないため目的物質の質量分析を邪魔しない、というメリットがあり、物質によっては従来の1000倍の感度で検出できる。

Data

カフェイン、長鎖脂肪酸、脂溶性ビタミン等を超高感度(数amol~fmol)で検出

Expectations

本発明のライセンスによる質量分析技術を実用化していただける企業を求めています。
SFC/SFEやPTRは要素技術としては確立されており、SFE/SFC-PTRのイオン化機構は汎用の質量分析装置と接続可能なためシステムとしての開発に限らず、アタッチメントとしての製品化も考えられます。

Publications

発表:69th (2021) ASMS annual conference

Patents

WO2022/168943

Researchers

豊田岐聡 教授 (大阪大学理学研究科)
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