生殖補助医療における良性胚の確認方法

2024/04/16 15:12 By Tech Manage

凍結融解胚移植の際、胚の培養液に含まれる特定のmiRNAを指標とし、着床率などの観点で機能の高い良性胚を客観的に評価できる

Advantages

  • 非侵襲的な操作:受精胚の融解培養時に、培養液中の特定のmiRNAのコピー数を確認する
  • 形態学的分類に加えて本発明の指標も評価することで、より受精胚の着床率向上が期待できる

Background and Technology

晩婚化や、生殖補助医療 (ART) における保険適用の拡大に伴い、ARTのニーズは年々高まっている。女性は35歳を超えると妊娠率や生児獲得率が大幅に下がり、また流産率が上昇することも報告されていることから、ARTでは如何に良好胚を選択できるかが重要である。従来、ARTでは受精胚の形態学的特徴に基づき良好胚が選択されているが、形態学的分類では受精胚自体の機能までは評価できないという問題があった。また、形態学的には不良とされた受精胚であっても生児獲得に至る例もあり、より客観的に受精胚自体の機能を評価できる指標が求められていた。
本発明者らは、将来的に胎児または胎盤に特異的に発現することが知られているmiRNA群に注目し、それらのうち凍結融解胚の培養液からも検出が可能な特定のmiRNAの量を測定することで、高い精度で受精胚自体の機能評価ができることを発見した。具体的には、凍結融解胚の培養液に含まれる特定のmiRNAのコピー数が少ないほど、着床率が高くなることが確認された。ARTの実臨床では、凍結胚は複数個を同時に解凍し確認する場合が多いことから、それぞれの胚培養液中の当該miRNAのコピー数がより少ない胚を選別することで、着床率が高くなることが期待される。また、従来の形態学的分類と本発明とを合わせて評価することで、さらなる不妊症患者の着床率向上に寄与することができるものと予想される。

Data

  • 融解胚の培養液に含まれる、将来胎盤または胎児となるゲノム上の領域(それぞれ、C19MCとC14MCに相当)に由来する特異的なmiRNA群の各コピー数を計測し、着床・妊娠の結果と合わせて比較した。その結果、C19MC領域のmiRNAであるmiR-517a、miR-517c、miR-518bのコピー数において、妊娠群と非妊娠群とで統計学的優位差が認められ、コピー数がより少ない胚ほど着床・妊娠に至る可能性が高いことが示された。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、長崎大学からの委託により、本発明のライセンス導入による製品化・実用化をご検討いただける企業様を探しています。本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。
また、長崎大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本テーマに関する共同研究や、技術および発明の一定期間における有償評価(MTA契約/優先交渉権等のオプション設定)についてご検討いただくことも可能ですので、お気軽にお尋ねください。

Publications

  • 第75回 日本産科婦人科学会(2023年5月)
  • FAOPS 2023(第22回アジア・オセアニア周産期学会学術集会)(2023年10月)
  • 関連論文:未発表

Patents

国内特許出願済み(未公開)

Researchers

三浦 清徳 教授 (長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 産科婦人科学分野)

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