CEBPA遺伝子に変異を有する急性骨髄性白血病(CEBPA-AML)を対象とした微少残存病変の検査法

2024/06/11 14:23 By Tech Manage

次世代シーケンサを用いた高感度検出

Advantages

  • 臨床検査ニーズの高いCEBPA-AMLの微少残存病変(MRD)を検出できる初めての検査方法
  • 高感度検出:変異細胞の割合が少ない場合であっても検出可能

Background and Technology

急性骨髄性白血病(AML)は20近くに細分化される疾患群であり、その遺伝子的背景からリスク分類が行われている。治療に際しては、中間~高リスク群では第一寛解期での造血幹細胞移植が勧められる一方、低リスク群では化学療法のみが推奨されている。しかしながら、予後の良好な低リスク群でも再発する症例があり、特に微少残存病変(MRD)は独立した再発リスク指標であるとされ、その検出は第一寛解期での移植を選択する理由となっている。そのため特に低リスク群における治療中や予後経過観察中のMRDの検出は非常に重要となる。
現在、低リスク群のAMLとしては4種類が知られており、それらのうち、Inv(16)転座を有するAML、t(8;21)転座を有するAML、NMP1変異を有するAMLはいずれもPCRに基づくMRD検出法が確立している一方、CEBPA変異を有するAMLは症例により変異部位が異なるためMRD検出方法が確立されておらず、臨床的にも信頼性の高いMRD検査法の登場が求められている。
そこで本発明者は、MRDであるCEBPA遺伝子の変異を次世代シーケンサ(NGS)解析により簡便に検出できる方法を新たに考案した。CEBPA遺伝子はGCリピートに富む配列のため従来NGS解析に不向きとされていたが、発明者はPCRやシーケンスでのエラーがほとんど発生しない検査条件や評価手法を確立した。その結果、高い特異性をもって発症時に患者が有したCEBPA遺伝子変異の残存の有無を評価可能となり、また高感度(0.01%レベルで検出可能)で検出可能である。それゆえ、本発明がCEBPA変異を有するAML患者を対象とした最も信頼性の高いMRD検査法となることが期待される。

Development Stage & Future Research Plans

大阪大学における後ろ向き観察研究(※)において31例のCEBPA変異を有する急性骨髄性白血病の初診時検体において本発明法で検出可能であることを確認し、またうち化学療法が完遂された20症例において本発明における治療後のMRD陽性例と陰性例において有意な再発率の差(P<0.01)を認めた。今後、より規模の大きい前向き試験により保険収載を目指す。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、本発明のライセンス導入による、受託解析サービスとしての実用化をご検討いただける企業様を探しています。大阪大学との秘密保持契約により、本発明/プロジェクトに関する詳細情報の開示や、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたら何なりとご相談ください。

Patents

特許出願中(未公開)

Researchers

中田 潤 助教 (大阪大学 医学系研究科保健学専攻)
杉山 治夫 教授 (大阪大学 医学系研究科保健学専攻)
元岡 大祐 講師 (大阪大学 微生物病研究所 ゲノム解析室) ほか


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