有機溶剤に対する溶解性を維持したまま、超分子構造によりポリマーの分解が起こりにくい
Advantages
- リチウム硫黄電池材料に応用できる可能性がある
- 硫黄含有率を高めた高屈折率光学用プラスチックを作製できる可能性がある
Background and Technology
年間700 万トン地上廃棄されている硫黄の有効活用が求められているが、硫黄は8 員環が開裂してラジカルが発生するため室温で分解し不安定であり、また硫黄ポリマーは汎用有機溶媒に不溶で加工性に乏しい。
発明者は、超分子化学的アプローチにより硫黄ポリマーの安定化を実現した。具体的には硫黄を含有する鎖状分子と環状分子(疎水性シクロデキストリン)を用いることで、シクロデキストリンの立体障害により硫黄ポリマー末端のラジカルのバックバイティング(硫黄ポリマー分解の原因の一つ)を抑制し、またスチレン添加によりシクロデキストリンの脱離を防いでいる。
Data
メチル化αシクロデキストリン(TMαCD)と硫黄を160 ºC にて加熱した後に、スチレンを添加し、共重合を行うことで硫黄ポリマーを線状分子としたポリロタキサンを合成した(SPRx) 。GPC測定により決定されたSPRx の分子量(5,000)は、硫黄とスチレンの共重合体(1,300)よりも大きかった。また、分解温度もSPRx の方が硫黄とスチレンの共重合体よりも40 ºC 高かった。
Patent
出願済(未公開)
Researcher
小林 裕一郎先生(大阪大学理学研究科 助教)
Expectations
共同研究、または出願特許の実施許諾
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