スマホ撮影で高精度ひずみ検知、電源レスの光学式センサー

2025/12/03 11:19 - By Tech Manage

インフラ診断から金型測定まで 「貼るだけ・撮るだけ」のモニタリング技術

Advantages

  • 電源・配線不要の完全パッシブ計測 :ターゲットを貼るのみ。電源確保が困難なインフラ設備や回転体でも、半永久的に設置・計測が可能
  • スマホ撮影で高精度検知: 微小な変位を「回転」に増幅・変換する独自構造。従来の画像計測(DIC)を凌駕する精度と安定性を実現
  • 過酷環境への適応と低コスト化: 耐水・耐熱素材で安価に量産可能。水がかかる屋外や高温の鋳造現場など、電気式センサー不適の環境に対応

Background and Technology

構造物の安全性確保において、高精度なひずみゲージは配線や接着の手間、電源確保が障壁となり、手軽な画像計測(DIC)は精度不足(約100マイクロストレイン限界)により適用範囲が限定的であるという課題があった。特にインフラの長期監視や高温の製造現場では、既存のセンサー技術ではコストと耐久性の両立が困難であった。
本技術は、測定対象の微小なひずみ(伸び縮み)を、独自の弾性変形機構(ターゲット)内部でテコの原理を用いて増幅し、画像解析が容易な「回転運動」へ変換する。肉眼では判別不能な微小変位も、回転角という物理量に変換することで、汎用カメラでも高いS/N比で検出可能とした。これにより、電源レスかつ非接触でありながら、従来のDICでは捉えきれなかった微小領域のひずみ計測を実現している。

Current Stage & Key Data

本センサーは、被写体となるターゲットの構造そのものがアンプ(増幅器)の役割を果たす。
  • 増幅メカニズム: ターゲット内のヒンジ構造が、対象物の伸縮(ひずみ)をテコの原理で20〜50倍の変位に増幅し、表示部の回転運動に変換する。
  • 精度検証: 従来のDICと比較し、計測値のばらつき(標準偏差)を約1/5に低減。DICではノイズに埋もれる微小ひずみ領域においても、理論値に追従する正確な計測を実証済みである。

【想定アプリケーション】

  • インフラ劣化診断(橋梁・トンネル・ビル) 常時給電が不可能な場所への設置。数ヶ月に一度、遠隔カメラやドローン、作業員のスマホで撮影し、経年による剛性変化を定量診断する。
  • 鋳造金型・回転体の測定 高温(アルミダイカスト等)や冷却水がかかる環境、回転体など、電気式センサーや配線が設置できない箇所の熱ひずみ・変形モニタリング。

Partnering Model

本技術は原理検証を完了し、実環境への適用フェーズへ移行している。 現場実装に向けた耐久性評価やシステム最適化などの実用化プロセスを、共同研究を通じて共に推進できるパートナーを募集する。

インフラ点検・維持管理企業

 「目視点検の定量化」や「電源のない場所での長期モニタリング」などの課題に対し、本技術を適用した実証実験(PoC)を通じて、巡回点検のDX化・省人化システムを共同構築したい企業 
製造・成形メーカー 

高温や水濡れ環境のため諦めていた測定ニーズに対し、現場環境に即したターゲットの試作・評価を共同で行い、金型等のひずみ計測を実現したい企業 

Patents

特開2024-42174

Researchers

天谷 賢治( 東京科学大学  工学院 システム制御系 ,教授) 

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