高感度バイオセンサー向け発光材料

2024/02/06 13:57 - By Tech Manage

発光円偏光度と発光強度の同時増強

Expectations

円偏光発光を利用した高感度バイオセンサーや診断デバイスの開発を目指した共同研究やライセンス供与を希望。特に、感染症診断キットや微量バイオマーカーの検出が必要な分野での応用を想定し、従来技術を補完・革新する用途での利用を目指す。

Advantages

  • 高い発光強度と高感度
    DNAとEu(III)錯体の相互作用により、発光量子収率が従来比で25倍以上向上。これにより、試料中の微量な分子や病原体の高精度検出が期待される。     
  • 高い円偏光度(glum値)
    glum値(発光円偏光度)が−0.6と非常に高く、偏光特性を持つ発光が可能。これにより、特定分子との結合時に生成される特異的な偏光信号を検出でき、非特異的な発光を抑えつつ、選択性と信頼性の高い診断が期待できる

Background and Technology

円偏光は、光の振動方向が光の進行方向に対して垂直な平面内で円を描くように回転する光で、円を描く回転方向によって、右円偏光と左円偏光に分けられる。生物を構成する分子の多くはキラルな構造を持つため、左円偏光と右円偏光に対して異なる吸収や散乱を示す。これらの特性を活かし、微量な病原体や分子の高感度かつ迅速な検出するバイオセンサーや細胞イメージングなどの研究開発が盛んになされている。
一方で、従来の希土類錯体を用いた円偏光発光材料の研究では、高い発光円偏光度を持つ材料は開発されていたが、円偏光度と発光強度の両立は非常に困難であった。本技術は、DNAとEu(III)錯体を活用した独自のアプローチにより、この課題を解決した技術である。
DNAベースの材料は独特の光機能特性を持ち、ナノデバイスや発光システム、生物学的応用分野で広く注目されている。本技術では、DNAと塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTMA)で構成される固体マトリックスにキラルなEu(III)錯体(Eu(D-facam)3)を組み合わせることで、発光量子収率が従来比で25倍以上向上。さらに、発光円偏光度(glum = −0.6)という優れた特性を実現した。

図1)Eu錯体とDNAとの相互作用によるフォトルミネッセンスの増強と円偏光度

Publications

Patents

特許6218291,  WO/2023/277110

Researchers

小林範久 教授(千葉大学大学院 工学研究院)


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