DNA‑CTMA と結合したキラルEu(III) 錯体により円偏光発光特性が向上
Advantages
キラルなEu(III)錯体をキラルな生体高分子であるDNAの膜中に取り込むことで、高強度の発光と高い円偏光発光を同時実現
- DNAとの相互作用により、発光量子収率の25倍を超えるフォトルミネセンスの増加
- 発光円偏光度(glum値)は-0.6
Background and Technology
円偏光発光(CPL)を示すキラル発光材料は、3Dディスプレイ用の偏光光源やセキュリティシステム等、次世代の光情報機能性材料として期待されている。希土類錯体を用いた円偏光発光材料の研究において、高い発光円偏光度を有する材料は開発されているが、円偏光度と高強度の発光を両立させることは非常に困難であった。
DNAベースの材料はユニークな光機能特性を持つことから、発光システムや生物学的システム、ナノデバイスなどのさまざまな分野で注目されている。そこでDNA と塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTMA)で構成される固体マトリックスとキラルなEu(III)錯体(Eu(D-facam)3)を会合させたフィルムを用いて、Eu(D‑facam)3の光物理特性を調査したところ、Eu錯体とDNAとの相互作用により、フォトルミネッセンスの増強(発光量子収率の25倍以上の増加)および発光における円偏光度(glum = − 0.6)が認められた。
図1)Eu錯体とDNAとの相互作用によるフォトルミネッセンスの増強と円偏光度
Expectations
円偏光を利用したセキュリティインクや特殊印刷への応用を目指した共同研究や技術ライセンスを希望
Publications
Patents
特許6218291, WO/2023/277110
Researchers
小林範久 教授(千葉大学大学院 工学研究院)
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