シリカゲル上で安定かつ反応性の高い芳香族ボロン酸エステル

2024/02/21 16:32 By Tech Manage

シリカゲルクロマトによって単離精製可能かつ幅広い官能基変換が可能

Advantages

  • シリカゲル上に吸着されず安定なため、精製が容易。
  • 芳香族ボロン酸ピナコールエステルと同等以上の反応性を有し、様々な誘導体への展開が可能。

Background and Technology

芳香族ボロン酸誘導体は、鈴木-宮浦カップリングに代表される様々な反応の基質として広く利用されているが、無保護の芳香族ボロン酸誘導体は単離精製やNMRによる構造決定、並びにボロン酸を保持したままでの官能基変換が困難等の欠点を有していた。
そこでシリカゲル上に吸着されることなく安定で精製容易かつ幅広い官能基変換へと適用可能な新規芳香族ボロン酸エステルを開発するために研究を重ね、芳香族ボロン酸 [ArB(OH)2] と1,1,2,2-テトラエチルエチレングリコール [Epin] をジクロロメタン中、室温にて撹拌することで芳香族ボロン酸Epinエステル [ArB(Epin)] を定量的に合成することに成功した。
本発明により、従来法では合成の難しかった新たな誘導体への合成展開が可能となり、天然物全合成から医薬品・有機電子材料の探索・生産まで幅広い展開が期待できる。

Data

  • ArB(Epin)を鈴木-宮浦カップリングへと適用したところ、ArB(pin) を用いた場合よりも高い収率にてビアリール類を合成することに成功した。
  • シリカゲルカラム中に 2-furanB(pin) と 2-furanB(Epin) を各々 100mg 通過させたところ、 2-furanB(pin) の回収率が 22% であったのに対して、 2-furanB(Epin) の回収率は 99% であった。

Expectations

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Publications

Oka et al., Organic Letters 2022, 24, 3510−3514.

Patents

WO-A1-2022/186098

Researchers

井川 貴詞 准教授(岐阜薬科大学 薬学研究科)

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