Advantages
- 有機金属官能基、不活性化ガス、脱水処理が不要のアリール化反応を用いたポリマー合成法
- 環境負荷の劇的低減: 有害な有機金属副生成物を排出せず、無害な無機物が副生するため、環境に優しく廃棄物処理も容易。
- 合成プロセスの簡素化: 大気下で反応。未精製溶媒が使用可能なため、特殊な不活性ガス設備や溶媒脱水工程が不要。
- 製造コストの大幅削減: モノマーの前処理や複雑な精製が不要となり、材料製造コストを劇的に削減。
Background and Technology
π共役高分子は有機ELや有機薄膜太陽電池など広い分野での応用が期待される材料である。しかし、従来の合成法にはいくつかの課題がある。一つは、モノマーの調製に有機金属官能基の導入が必要で、重合後に有害な有機金属化合物の副生成物が生じ、その分離・精製が煩雑で環境負荷が大きい点である。もう一つは、酸素を嫌う反応であるため、不活性ガス雰囲気下での実施や有機溶媒の厳密な脱水処理が必要で、設備や操作が複雑であった。
筑波大学の神原教授のグループは、これらの課題を一挙に解決する「簡便な直接的アリール化重合技術」を開発した。まず、有機金属官能基に関する課題に対して、本技術は芳香族C-H結合が直接反応点になるため、有機金属官能基の導入が不要である。そのため副生成物が無害なハロゲン化水素になり、後処理が容易となる。次に、従来技術が嫌酸素反応である課題に対して、本技術は大気に解放する系での加熱還流によりπ共役高分子を合成することで解決する。つまり、溶媒に溶存する酸素を大気へ除去しながら反応を進めるため、従来の合成方法と違い不活性ガス雰囲気などが不要で、大気下で扱える。加えて、溶媒に対して脱水・脱酸素など前処理が不要である、という工業的に大きなメリットがある。
Data
- 大気下、脱水脱酸素処理を施していない溶媒を使い、本技術によってπ共役高分子を合成する事例を多数報告している。例えば、以下のような反応では、91%の収率が得られた。

Expectations
筑波大学では、本技術の導入に関心のある企業様を探しています。大学が有する特許のライセンスをお受けいただくことで、貴社のビジネスにご利用いただけます。ご関心をお持ちでしたら、ぜひ弊社へご連絡ください。弊社とのお打合せにて概要のご説明や、先生とのご面談の機会などをご提案できます。また、貴社が合成したい分子を本技術で対応できるかの検討などをテーマとする共同研究もご相談できます。
Patents
特許7138338号
Publication
- X. Chen et al., Polymer., 2020, 207, 122927. 
 [DOI]: https://doi.org/10.1016/j.polymer.2020.122927
- A. Ichige et al., Macromocelues, 2018, 51, 6782-6788
 [DOI]: https://doi.org/10.1021/acs.macromol.8b01289
Researchers
神原 貴樹 教授 (筑波大学 数理物質系 物質工学域)
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