高輝度・ハイパワー化が可能な白色光源の蛍光体

2025/05/27 16:20 - By Tech Manage

Advantages

  • 高輝度白色LED/LDを実現する、高い変換効率と高い熱安定性を備えた新しいバインダーフリー黄緑色YAG単結晶蛍光体。
  • 従来製品に比べて高出力が可能。
  • 従来必要だった冷却装置が不要で装置の小型化が可能。
  • 評価のための本結晶サンプルの提供が可能。
  • 本発明を用いたレーザー・LED開発にご興味のある企業様を募集しています。

Background and Technology

近年、省電力化や環境保護への意識の高まりから、青色LEDを励起光源として蛍光体を発光させる白色照明が普及している。一方で、LED光源では実現が難しい高輝度を必要とするプロジェクターやヘッドライトでは、青色レーザーダイオード(LD)を光源とする製品が注目されている。しかし、LD光源のパワー密度の増加に伴い高温時の効率が低下するため、放熱の難しさが課題となっていた。また、従来使用されてきたYAG蛍光体は焼結技術で製造されており、高温で発光効率が低下しやすいという問題があった。さらに、粉末蛍光体を使用する場合には熱伝導率の低い樹脂などのバインダーが必要なため、温度上昇が問題となり、高出力用途で十分な性能を発揮できなかった。
これに対し、本発明者らは室温での内部量子効率が0.9以上であり、300℃でも内部量子効率がほとんど劣化しない新しいYAG単結晶蛍光体を開発した(下図)。本蛍光体はチョクラルスキー法を用いて作られ、高温でも優れた発光特性を維持し、材料自体の温度上昇が少ないため、発熱の問題を大幅に軽減できる。
また、単結晶蛍光体は粉末蛍光体を使用する際に必要となるバインダーや不純物を含まないため、熱が放熱されやすくなり、冷却装置も不要となるため機器の小型化にも寄与する。さらに、放熱性能の向上により、従来の蛍光体と比べて温度上昇が抑えられ、高輝度・ハイパワー化が可能となった。この技術は、従来の課題を克服し、白色照明製品の性能向上だけではなく、機器の小型化、省電力化、製造コストダウンに大きく貢献すると期待される。

ポイント1:従来の粉末蛍光体では達成できない輝度を実現できる
ポイント2:蛍光体の温度上昇が従来の粉末蛍光体より小さいため、冷却装置の小型化が可能となる
ポイント3:パッケージとしての消費電力が小さくなる
 ⇒ 上記の特性により、従来の粉末蛍光体では達成できなかった輝度が、小型、省電力で可能となる
ポイント4:従来の粉末蛍光体で可能な高輝度においても、小型、省電力が可能となる

Data

  • 温度変化によるYAG単結晶蛍光体と従来の焼結YAG粉末の内部量子効率を調べたところ、焼結YAG粉末では温度上昇に伴い低下したが、YAG単結晶蛍光体は低下しないことを確認した。

内部量子効率におけるYAG単結晶蛍光体(Ce: Y3Al3O12)と従来の焼結YAG粉末蛍光体との比較(Ce:Lu3AI3O12:セリウム添加ルテチウム)

Expectations

物質・材料研究機構では、本発明のライセンス導入によるレーザー・LED開発にご興味のある企業様を探しています。研究者との直接のご面談によるお打合せの他、物質・材料研究機構との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、本結晶サンプルを提供し、評価していただくことも可能です。ご希望等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

Patents

特許第6029095号 他

Researchers

島村 清史 物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター 


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