太陽光を利用したアオコ除去システム

2025/05/20 10:50 - By Tech Manage

Advantages

  • 光触媒であるABC触媒を塗布した金属メッシュを水面に浮かべることで、アオコなどの有毒藻類を分解するシステム
  • 水面に浮くため、藻類の生息場所でピンポイントに作用できる。
  • 電源など大掛かりな装置は不要。メンテナンスフリーで長期耐候性も確認されている。
  • 本技術にご興味のある浄水処理や下水処理システムを開発されている企業様を探しています。

Background and Technology

池や湖で発生するアオコ(藍藻類の異常増殖)は、水質悪化や取水施設の傷害、腐敗臭などの問題を引き起こす。特に海外では、アオコが放出する毒素による健康被害や生活用水の制限が深刻化しており、世界的な対策が求められている。
本研究者は、高性能な光触媒Ag/Ag2O/BiPO4/Bi2WO6/g-C3N4、通称ABC触媒を開発した。この触媒は化合物の分解作用が強く、藻類をも分解する。そこで、ABC触媒を利用して湖水にある藻類を効率的に分解・抑制するシステムを開発した。具体的には、ステンレスなどの金属メッシュを担体としてシリカグルーを塗布し、そのシリカグルーに粉末のABC触媒をまぶして触媒を固定する。その触媒を固定した金属メッシュを水面に浮かべ太陽光を受けることで藻類を分解するシステムである。シリカグルーの疎水性により金属メッシュが水に浮くため、水面近くに生息している藻類を効率的に分解できる。電源や装置も不要で、太陽光のみで藻類を分解することができ、メンテナンスフリーで長期耐候性も確認されている。環境負荷のかからないエコなシステムであり、太陽光を用いるため広範囲の水域の浄化が可能である。

Data

  • 5✕106 cells/mLの植物プランクトンMycrocystisを含む水にABC触媒を塗布したステンレスメッシュを浮かべ、太陽光に準じた光を照射したところ、Mycrocystisは6時間で完全に分解された。また、光がない環境下でも分解効果が見られた(下図)。

Expectations

筑波大学では、本技術にご興味のある浄水処理や下水処理システムを開発されている企業様を探しています。筑波大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、サンプル(光触媒)の提供も可能です。

Patents

特許出願中(未公開)

Publication

“Solar-light-driven inactivation of toxigenic Microcystis by floating photocatalytic mesh system: Insights on physiological mechanism and application”, Water Research, 283 (2025) 123819.
https://doi.org/10.1016/j.watres.2025.123819.

Researchers

楊 英男 教授 (筑波大学 理工情報生命学術院 生命地球科学研究群) 

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