Advantages
- バランス能力の視覚依存度を利用して認知機能を評価・モニタリングできる手法。
- 認知機能評価を行う装置としてゲーム機を活用できるソフトウェアも開発
- 低コスト、簡便、高感度に軽度認知障害をスクリーニング可能。
- 本技術を使った製品開発(重心動揺計)・実用化、共同研究にご興味のある企業様を探しています。
Background and Technology
認知症患者数の増加は世界的な問題とされているが、未だ根本的治療法は開発されていないことから、軽度認知障害段階(MCI)での早期発見・早期治療が重要である。また、認知症の診断には、認知機能検査テストや脳画像診断が行われているが、検査には時間がかかり、特に脳画像診断などは高額な医療費もかかるため認知症の疑いのある患者全員が受診することは難しい。そのため、簡便で安価な認知症の早期発見ツールが求められている。
今回、本研究者らは体のバランス能力を測定する新しい指標であるVPS(年齢補正視覚依存度指標)を開発し、本指標を用いることで高精度に認知機能の評価に応用できることを見出した。認知症やその前段階であるMCIの患者の多くは、歩行に異常が生じたり転びやすくなったりするなどバランス障害を伴うことがよく知られている。本研究チームは、小児から高齢者まで幅広い年齢層を対象にバランス能力測定を行っており、その中で測定結果と認知機能との関連性に早くから着目してきた。
VPSは重心動揺計上に立って測定できる簡便な身体能力指標だが、本研究者は高価な既存の重心動揺計ではなく、ゲーム機を活用して測定するソフトウェアも開発した。実際にこのゲーム機とソフトウェアを利用して測定したところ、医療機器として認証されている重心動揺計と同等に使用可能であることが確認できた。臨床研究を行い、現在臨床の場で用いられている認知機能指標MoCA-Jの点数とVPSの間に有意な正相関が示され、低コストで簡便かつ高感度にMCIのスクリーニングが可能であることが示された。本技術が社会実装されることで、認知症発症予防に大きく貢献することが期待される。
Data

- MCIと診断された被測定者(MCI群)とMCIでないと診断された被測定者(正常群)のVPSを比較したところ、MCI群はVPS値が有意に高く、VPSと被測定者の認知機能に関連があることを確認した(右図)。
- 50~70歳代の数十名を対象にVPSで認知機能の評価を行い、認知機能の低下が疑われる対象者のスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、認知機能の低下が疑われた対象者を実際に筑波大学附属病院で受診させたところ、そのうちの7割強の被験者に認知機能の低下疑いが認められた。
Expectations
筑波大学では、以下のような企業様を探しています。
①本技術を使った重心動揺計の製品開発・実用化にご興味のある企業様
・高齢者向け運動器関係の医療機器や高齢者向けヘルスケアデバイスの製造メーカー
・重心動揺計の製造メーカー
・高齢者向け運動器関係の医療機器や高齢者向けヘルスケアデバイスの製造メーカー
・重心動揺計の製造メーカー
②自治医科大学と共同研究を行い本技術をさらに発展させることに興味のある企業様
・高齢者向け介護施設やその運営企業様
・高齢者向けヘルスケアサービスを取り扱われている企業様
・高齢者向け介護施設やその運営企業様
・高齢者向けヘルスケアサービスを取り扱われている企業様
本技術に関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですのでお気軽にお尋ねください。
Publications
Publications
Suzuki et al., BMC Gerniatics (2023), 23:74,
Patents
WO2022/145416
Researchers
鈴木 康裕 筑波大学 システム情報系 助教
矢作 直也 自治医科大学 内科学講座内分泌代謝部門教授
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