Summary
- 1,1-ジフルオロアレンとアルデヒドを用いてフッ素を一原子だけ含有する、2-フルオロフラン環含有化合物の新規合成法
- 従来法では合成が困難であったフッ素を一原子のみ含むフラン環の合成が可能に
- 創薬や有機電子材料の製品中間体・誘導体展開あるいは構造展開の基盤化合物として活用可能
- 本合成法の導入や合成法の創薬・高機能材料開発への活用にご興味のある企業様を募集しています
Background and Technology
五員環複素環は、医薬品、農薬、有機電子材料の部分構造や合成中間体として非常に価値が高く、高付加価値分野において高い注目を集めている。なかでも、フッ素を一原子のみ含む五員環複素環である2-フルオロフラン環は、化合物としての機能や展開可能性において高い価値を持つ一方、合成の困難さゆえに、実際にはほとんど市販されておらず、製造方法も確立されていない。
筑波大学の渕辺准教授は、1,1-ジフルオロアレン化合物(図中1)とアルデヒド化合物(図中2)から2-フルオロフラン環含有化合物(図中4)を製造する方法を開発した。本技術では、1,1-ジフルオロアレン化合物とアルデヒド化合物の[3+2]環化付加反応を出発点とし、金/銀複合触媒を用いてジヒドロフラン中間体(図中3)を得たのち、塩基存在下で芳香族化を行うことにより、単一のフッ素を含む2-フルオロフラン環構造を選択的に得ることができる。
本手法の収率は高く、工程も短いため、プロセス導入性に優れるのみならず、誘導体展開の基盤構造としての活用も期待される。

図 1,1-ジフルオロアレン化合物とアルデヒド化合物からの2-フルオロフラン環含有化合物の合成経路
Data
- 1,1-ジフルオロアレン+ベンズアルデヒド → 2-フルオロフランの反応により収率 50%(主生成物)/ 83:17 選択比(フルオロ:クロロ)を得た。また、他アルデヒド化合物との反応により、2-フルオロフランの誘導体を53~82%の収率で得た(文献参照)。
Expectations
筑波大学では、本技術にご興味があり製品設計・中間体製造等に導入されたい企業様、この製造方法を活用するアイディアをお持ちの企業様を探しています。本技術は、選択的に「フッ素1原子だけを含む芳香族五員環」を合成できる初の簡便手法であり、本製造方法のみならず、誘導体設計・化合物ライブラリ構築・フッ素医薬探索・高機能材料開発のいずれにも活用可能です。
本発明/プロジェクトに関し、筑波大学との秘密保持契約締結による未公開データ等の開示のほか、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能です。お気軽にお問い合わせください。
Patents
特許出願中(未公開)
Publication
Miyazaki, D. et al., American Chemical Society, Organic Letters 2025 Jan 18.
[doi]: 10.1021/acs.orglett.4c04185
Researchers
渕辺 耕平 准教授 (筑波大学 数理物質系) ほか
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