安価で保磁力の大きい六方晶フェライト微粒子

2023/05/30 12:54 By Tech Manage

Advantages

  • 六方晶フェライト粒子のFeの一部をLiで置換して電荷のバランスを不均衡にすることで保磁力を向上させた。
  • フラックス法により結晶成長させることで、100-500 nmの六角板状形状の粒子が安定的に得られた。
  • 結晶の粒径が安定で、配向性にも優れるため、安価で高磁化を持つ永久磁石として最適である。

Background and Technology

永久磁石はEV用など今後ますます重要である。希土類系と比べて低コストで量産可能な六方晶フェライト系磁石は、Sr, Ba, Feの一部を他の元素に置換すると磁気特性が向上することが知られている。
本技術はフラックス法という結晶成長手法を採用した。フラックス法は原材料とは反応しないフラックス(溶融塩)中で、元素同士を高温で反応させて結晶成長させる手法であり、組成や形状が整った単結晶粒子を得るために有用な方法とされる。柳原先生らは、KBrを融剤としたフラックス法を用いて六方晶フェライト単結晶を作成した。これにより、粒子間焼結が起こらず、100-500 nmの理想的な六角板状形状の粒子が得られた。この粒子は分散・配向性に優れ、塗膜にすると角形比が0.9程度の高い配向度をもった塗膜が得られており、特に異方性永久磁石用として最適である。
さらに柳原先生らはフラックス法での結晶成長の過程で、六方晶フェライト粒子のFeの一部をLiで置換する工夫を施した。これにより電荷のバランスを不均衡になるために、フェライト粒子の保磁力を向上することができた。得られた性能は印加磁界1350 kA/mでの保磁力は443-787 kA/m、磁化量はCoLaTi系と同等程度。マグネトプラム型構造(AFe12-xLixO19)では、AはSr、Ba、Pbのいずれか、 Xは0.12-1.8の範囲としている。

Expectations

  • 筑波大学では、柳原先生の技術の実用化に向けた活動を一緒に進めるパートナー企業を探している。
  • 本技術はまだ基礎研究の段階。
  • 製造プロセスの最適化などを開発する共同研究などの協業体制を期待。特許ライセンスも可。

Patent

特開2023-027860

Researcher

筑波大学 数理物質系 教授 柳原英人

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