Advantages
- 有機合成反応に分子クラウディング効果を応用した新しい有機合成技術を提案。
- 分子クラウディング剤を添加するだけで、反応が高速化。
- 貴社の有機化学合成に高分子の分子クラウディング剤を添加するだけで化学合成のコストダウンと合成に伴うエネルギーの削減に貢献できる。
Background and Technology
化学反応の反応速度がより速くなり、また化学反応で得られる反応生成物の収率が高くなればより安価に化学物質を提供することが可能になる。従来は、反応を促進するためには高価な触媒を用いるなど、取りうる手段が限られており、より安価に化学反応の反応速度、反応生成物の収率を改善できる方法が求められていた。
筑波大学の宮川先生らは、分子クラウディング環境が工学的な化学反応における反応効率を向上すると着想し、研究を行っている。分子クラウディング環境とは、細胞内部のようにタンパク質や核酸、糖などの高分子が込み合って存在している状況のことであり、宮川先生らはその環境下では体積排除効果で分子の存在する領域が狭くなることにより、反応速度が上がると考えた(下図)。分子クラウディング剤は原料化合物と化学反応しない有機溶媒に可溶な高分子であればよく、また、本技術を適用できる化学反応は、排除体積効果が得られやすい縮合反応、キレート反応、ホスト・ゲスト反応が考えらえる。縮合反応としては具体的にはハンチュ反応、ウルツ・フィッティッヒ反応、ウルマン反応、クネーフェナーゲル反応、クライゼン縮合、クリックケミストリーなどがあげられる。本技術を化学合成反応に用いることにより、反応効率の向上によるコストの削減と合成に伴うエネルギーの削減に貢献できる。
Data
ベンズアルデヒド、アセト酢酸エチル、炭酸水素アンモニウムを用いたハンチュ反応を行う際に、分子クラウディング剤であるポリイソプレンを添加したところ、添加していない時に比べて反応速度が早くなったことが確認された。
Expectations
筑波大学では、本研究を元にした事業化、製品化を希望される企業を募集します。本研究により、有機化学合成における反応の高速化により、コストやエネルギーの削減などの効果が期待され、貴社の化学合成事業の一助になると考えます。
発明者との面談にて貴社の課題についてお伺いし、活用できる反応ターゲット・分子クラウディング剤をご提案いたします。その後貴社にてフィージビリティスタディをしていただき、その結果についてのディスカッションを通して事業化に向けた共同研究やライセンスのご検討もしていただけます。
Publications
Miyagawa et al., Physical Chemistry Chemical Physics 2024 Feb 7;26(6):5615-5620. doi: 10.1039/d3cp06104c.
Patents
特許出願済み(未発表)
Researchers
宮川 晃尚 助教 (筑波大学 数理物質系 化学域)
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