中空構造体向けの高速高品質な反転摩擦撹拌接合

2025/02/18 19:45 - By Tech Manage

Advantages

  • 摩擦攪拌接合(FSW)で裏側から回転ツールを引き上げながら移動させて接合を行う技術。
  • ボビンツールを利用せず、中空構造やダブルスキン構造体(車両、タンク、パイプなど)を接合できる。
  • ツールに傾斜角を持たせて接合できるため、適用可能な接合条件が広く条件出しが容易になるほか、高速化や低入熱による高強度化が期待できる。
  • 表面に当て板をすることにより、通常のFSW(中空構造の表面からツールを挿入)では接合後に残ってしまう撹拌痕が発生せず、表面が平滑で、意匠性が高い。
  • 接合装置メーカーや接合装置を使用する自動車、航空機、鉄道関係の企業様へ本技術導入をご提案。

Background and Technology

自動車、鉄道、航空分野においてアルミ合金による軽量化が進んでおり、その接合には摩擦攪拌接合(FSW)が多く用いられる。また、アルミ合金の部材では、例えばタンクやパイプ、電車車両のような中空構造やダブルススキン構造体を採用するものもあり、その場合、裏板が必要となる通常のFSWでは接合が困難なためボビンツール式FSWが用いられる。しかし、表裏両側から摩擦撹拌するボビンツール式FSWは構造上、ツールを傾斜できない。その結果、良好な接合部を得られる接合条件の範囲が狭くなり、事前の技術検討が必要になることや、さまざまな材質・形状に対する要求強度を満たすことが難しいという問題がある


本発明者は、ボビンツール式FSWの問題点を解決する新しい摩擦攪拌接合技術を開発した。この技術では、通常のFSWの接合ツールやボビンツールと異なり、先端がフランジ状に広がった構造(ショルダー)を持つ回転ツールを用いる。そのツールを接合部の裏面(中空の内側)から表面(中空の外側)に向けて挿入し、表側にある装置にツールを取り付け、ツールを引き上げるように圧力と回転を加えて摩擦撹拌する。ツールに傾斜角を持たせて接合でき適用可能な接合条件が広くなるため、条件出しが容易になるほか、接合の高速化や低入熱による高強度化が期待できる(図1グラフ中ピンク部分)。また、表面に当て板をすることにより、通常のFSW(中空構造の表面からツールを挿入)であれば接合後に残ってしまう撹拌痕が発生しないため、表面が平滑で表面仕上げも必要なく、意匠性も非常に高い(図2)。


Data

  • アルミニウム合金(A6061-T6)を用いて、回転速度500rpm、接合速度400mm/min、前進角3°の条件で接合できることを確認した(図2)。

Expectations

  • 高融点材料用ツールを開発して、鋼・チタン中空構造体にも使用可能です。
  • 本技術を導入した接合装置を開発されたい企業様がいらっしゃいましたら、大阪大学と協働での装置開発をご提案します。実用化するための技術指導も可能です。
  • 接合技術に関してお困りの企業様がいらっしゃいましたらぜひお声がけください。共同で研究を来ない貴社の使用する金属について接合可能か大阪大学と共同で研究開発する体制をご提案いたします。
本発明/プロジェクトに関し、研究者との直接のご面談によるお打合せも可能ですので、ご希望がございましたらお気軽にご相談ください。

Patents

特許第5988265号

Researchers

藤井 英俊 教授 (大阪大学 接合科学研究所 接合機構研究部門) 


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