MRI技術応用による男性不妊の画像検査技術確立に向けたプロジェクト参加の提案

2023/02/27 14:48 By Tech Manage

Advantages

  • 男性不妊において精巣の精子産生能力を測定する、MRI技術
  • 男性不妊の診断や治療方針の参考情報を提供し、患者のQOLを向上しうる
  • 顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro TESE)の採取率向上にも期待

Background and Technology

男性不妊の主な理由は、精液量が少ない精液減少症、精子の数が少ない乏精子症、そして精液中に精子が全く存在しない無精子症がある。これら症状はおもに精巣機能の不全によって起こるが、明確な原因の切り分けとそれに合わせた治療法の選択には精巣機能の状態把握が重要である。また、それら治療には手術を要するものがあるが、奏効率が必ずしも高くないことから、治療による改善を予想することも求められる。
大阪大学大学院医学系研究科の木岡秀隆先生や、泌尿器科が専門の福原慎一郎先生らは、特殊なMRI技術を使うことで、精巣内の精子を産生する能力の有無とその分布を測定する技術を開発した。この技術は、精巣内に含まれる「クレアチン」(有機酸の一種であり筋肉のエネルギー源として知られている)の濃度分布を、化学交換飽和移動に基づく磁気共鳴イメージング(CEST-MRI)を用いて計測し、その結果をもとに精巣内の精子産生能力の分布を評価する。精巣が腹腔内に停留した状態(停留精巣)や、精巣捻転を模倣することで精巣虚血を起こした状態のモデルマウスを使った評価からは、クレアチン濃度をもとに精巣の機能不全を検出できることを確認した(下図)。また、精巣の一部に放射線を照射したマウスを使った検証からは、放射線を照射された部位とそうでない部位とでクレアチン濃度の違いが見られた。これは、男性不妊の治療の一つである、顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro TESE)において精巣内で精子を採取する際に、採取できる可能性がある領域を探索するための事前検討に重要な情報をもたらすと考えられ、精子の採取率を向上すると期待される。更に様々な段階で精子形成異常を来す遺伝子改変モデルマウスを用いた検証から、精子形成異常がどの段階で起きているかを画像的に評価することが可能であると期待される。現在、男性不妊の患者様の協力のもと、さらなる臨床研究を進めている。

Data

Expectations

大阪大学は、本技術を用いた男性不妊の検査や治療法の確立を目指し、協業いただける企業様を募っております。大阪大学との共同研究や共同開発をとおして、MRI製品やMRIの映像処理製品、新たな医療検査デバイスといった、貴社の新製品・新サービスにつながるものと思います。また、男性不妊症の治療薬や治療法の非侵襲的な開発・性能評価にも有用であると期待しております。国家プロジェクトや民間グラントを活用することも視野に、研究助成をご検討いただけますと幸いです。

Publications

WO2022/118906 にてPCT出願が公開済。

Patents

特許出願中

Researchers

大阪大学大学院医学系研究科 助教 木岡 秀隆
大阪大学大学院医学系研究科 准教授 福原 慎一郎


Please click here to see English summary.

以下のフォームからお問い合わせください

Tech Manage