抗miRNA抗がん剤

2024/08/13 10:43 - By Tech Manage

乳がん・膀胱がん・大腸がん・子宮内膜がん・卵巣がん等に高発現する
miR-200ファミリーを阻害する改良型S-TuD (Synthetic Tough Decoy) RNA核酸

Advantages

  • S-TuDは、miRNA阻害において他の方法に比べて高い阻害活性示す。
  • 改良型S-TuDは、より小型化され、安定性・活性が増強された。
  • 抗miR-200改良型S-TuDは、標的miR200-ファミリーを効果的に阻害する。

Background and Technology

miRNAは、多数の標的遺伝子を制御することにより、遺伝子調節ネットワークを形成し、多くの生命現象において重要な役割を果たしている。がんにおいても特定のmiRNAの高発現が確認されており、miRNAアンチセンス(Antagomir)等のmiRNA阻害剤が開発されている。S-TuDは、Antagomir等と比べて、より高い阻害活性を示すことが報告されている。私たちは、人工核酸やリンカーを設計することにより、更に安定性・活性が改良されたS-TuDを開発した。
miR-200ファミリー(miR-200a・miR-200b・miR-200c・miR-141・miR-429)は、腫瘍細胞における上皮間葉転換 (EMT) を抑制することが知られ、これまでがん抑制因子と考えられてきた。一方、私たちは、上皮系腫瘍細胞が造腫瘍活性に強く貢献することを明らかにした。更に、miR-200ファミリーを標的としてデザインした改良型S-TuDを用いてmiR-200ファミリーを阻害した。その結果、腫瘍細胞のポピュレーション平衡が間葉系に傾き、原発性腫瘍の増殖を効果的に抑制できることを見出した。

Current Stage and Key Data

  • 早期の前臨床研究段階
  • SUM149PT細胞を乳腺脂肪体に同所移植した担がんモデルマウスに対し、市販LNPに封入した抗miR-200改良型S-TuD(3mg/kg)を尾静脈投与した。腫瘍増殖を顕著に抑制した(右図)。


Expectations

  • 抗miR-200改良型S-TuDの独占ライセンスパートナーを募集中。
  • LNP封入体、リガンド結合体等の協働開発も可能。

Patents

  • 日本:特許7306653号、米国:特許11479769、欧州・中国:審査中

Researchers

伊庭 英夫(千葉大学真菌医学研究センター)


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