パラフィン包埋腎組織の3次元精密病理解析法

2024/06/26 11:34 By Tech Manage

パラフィン包埋腎組織を脱パラフィン、透明化、蛍光免疫染色、3次元解析することにより、糸球体病変部を高感度に検出

Advantages

  • 従来の腎生検薄切切片の2次元解析よりも高感度
  • 腎生検サンプルのパラフィン包埋ブロックを活用

Background and Technology

糸球体は、腎臓の中の毛細血管の集合体であり、障害が起きるとタンパク尿から最終的に腎不全に至る。診断には腎生検が行われるが、生検サンプルの薄切切片の2次元解析では、スライスする位置によっては病変細胞が含まれていないことがあり、特に早期は病変細胞自体が少ないため検出することが難しい。
私たちは、実験動物およびヒトの腎組織について、従来手法による透明化が可能であることを確認し、組織を透明化することで、より高感度な3次元解析が可能であることを実証した。さらに、パラフィン包埋した腎生検サンプルを脱パラフィンしたサンプルブロックにおいても、同様に透明化・蛍光免疫染色・3次元解析が可能であることを実証した。すなわち、患者負担を増やすことなく、従来の腎生検によるパラフィン包埋ブロックを用いて組織を3次元解析し、より高感度な病理診断を実現することができる。また、病理画像の診断についてAI自動解析プログラムの応用も考えられる。

Expectations

  • マウスおよびラットのサンプル(1mmのスライス)を用いて透明化し、Nephrin抗体・DAPI等で染色して検証し、透明化は糸球体の構造に影響ないことを確認。
  • 抗GBM抗体を用いた半月体形成性糸球体腎炎モデルラットの検体サンプルを透明化し、3次元イメージング(コンフォーカル顕微鏡)で判定し、従来の2次元解析と比べて病変部(半月体)をより高感度に検出。
  • ヒト腎臓組織パラフィン包埋ブロックからのサンプル透明化、蛍光免疫染色、3次元解析により、従来の2次元解析と比べてより高感度に病変部を検出(上図)。
  • 本技術導入による解析受託サービスをご検討いただける臨床検査受託サービス企業を探索中。
  • 今後AI自動解析プログラムへの応用も考えられ、AI開発企業との協働の機会も募集中。

Publications

Patents

特開2022-115286

Researchers

淺沼 克彦 教授(千葉大学大学院 医学研究科腎臓内科学)

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