ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤を有効成分とするヒト未分化多能性幹細胞の選択的除去剤
Advantages
- 多能性幹細胞(PSC)を細胞源とする細胞移植治療における奇形腫形成のリスクを回避する
- DHODH阻害剤の一部は免疫抑制剤等として臨床利用されている
Background and Technology
iPS細胞等のPSCから分化誘導した機能細胞を再⽣医療に適用するには、これら細胞分画に残存するPSCを排除することは必要不可欠である。これまでに、未分化PSCの除去技術として、PluriSln、メチオニン欠乏培地、ホスホDペプチド等が報告されている。
私たちは膠芽腫幹細胞を特異的に殺傷する化合物探索からピリミジン新規合成経路の必須酵素であるDHODHに対する新規阻害剤を同定するとともに、複数のDHODH阻害剤がマウスPSC(胚性幹細胞とiPS細胞)を特異的に傷害することを発見した。また、低濃度のBrequinar (BRQ)とASLANがヒトiPS細胞を傷害することも確認した。一方、DHODH阻害剤は組織幹細胞(マウス神経幹細胞、ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞 (iMCS))や終末分化細胞(神経系細胞、iMSC由来分化細胞)に影響がないことを確認している。DHODH阻害剤が免疫抑制剤・感染症治療薬・抗がん剤として一部承認および臨床開発中であることを含め、私たちの研究成果はDHODH阻害剤がPSCから分化誘導した機能細胞を利用した再⽣医療を推進する重要な基盤薬となることを示唆している。
Patents & Publications
- 特許出願:WO2020/130077(出願人:北海道大学)
- 論文:Echizenya et al., Neuro Oncol 2020
- 論文:Kondo, Stem Cells 2021
- 論文:Alakashi et al., Front Cell Dev Biol 2023
Expectations
- BRQがiMSCから脂肪細胞、骨芽細胞、軟骨細胞への分化に影響なく、未分化ヒトiPS細胞を特異的に殺傷することを確認済。
- 本技術を自ら開発し、iPS細胞を細胞源とした再生医療や医薬開発を実用化する企業を募集中。
※本研究は、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の池谷真准教授にご協力いただき進めています。
Researchers
近藤 亨 教授(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
Please click here to see English summary.
以下のフォームからお問い合わせください