COVID-19重症化マーカーおよびその解析手法

2023/11/28 10:56 By Tech Manage

患者・健常者集団サンプルのシングルセルRNAシークエンスにより細胞種毎のCOVID-19重症化マーカー遺伝子を特定

Advantages

  • 細胞種毎のマーカーであるため精度が高い。
  • 独自の解析手法(パイプライン)であり、他の疾患等への応用が可能。

Background and Technology

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)は、RNAワクチンや治療薬により、予防・治療体制が整備されつつある。一方でCOVID-19の症状は無症状から急性呼吸窮迫症候群に至る重症まで非常に多彩であり、重症化および後遺症についてそのメカニズムは解明されておらず、未だに患者および医療機関の大きな負担になっている。COVID-19発症時に重症化を予想することは困難であり、重症化バイオマーカーの開発が求められている。
私たちは、宿主免疫に注目し、細胞種毎にCOVID-19重症化に寄与する遺伝子を同定する研究に取り組んだ。具体的には、日本人COVID-19患者73名と日本人健常者75名から採取した検体に対して、シングルセルRNAシークエンシング実施した。同データは世界最大規模のCOVID-19シングルセルデータであるとともに、サンプルあたりの細胞数が豊富であり(約6,000細胞)、希少な細胞種における解析も可能である。独自の解析パイプラインを適用し、年齢、性別、サンプル収集時期、免疫抑制治療情報と紐づけた上で、各細胞種において網羅的に遺伝子発現変動解析を行った。その結果、細胞種毎にCOVID-19重症化に有意に寄与する遺伝子を同定した。
本研究で用いた解析パイプラインは他の疾患のマーカーや治療標的分子の解析にも応用可能であると思われる。

Expectations

  • シングルセルRNAシークエンスを用いた独自の解析パイプラインにより、日本人のCOVID-19患者と健常者の検体を解析し、COVID-19重症化のマーカー候補遺伝子群を同定した。
  • COVID-19重症化マーカーを用いた診断技術の実用化開発に取り組む企業を募集中。
  • また、本研究室の解析パイプライン技術を用いた様々な疾患のマーカー・治療標的分子の解析に関する共同研究に興味を持つ企業を募集中。

Publications

Patents

  • 特許出願済(未公開)

Researchers

岡田 随象 教授(大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子統計学)


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