質量分析(MS)による尿メタボローム解析に基づき、患者のがん・がんサブタイプの診断予測を行うMS解析プログラム・装置
Advantages
- MS特有の誤差(バッチ間誤差・マトリックス効果)や尿検体間の濃度変動に影響されない。
- 特定のバイオマーカーのみに限定するのではなく、網羅的データを活用することで患者多様性に対応し、予測精度を向上
- がん以外の様々な疾患、尿以外の様々な検体にも適用できる。
- 異なる網羅的解析スタディ間(マルチオミックス解析)にも適用できる。
Background and Technology
Non-target MSにおいては、様々な要因により装置・バッチ(データセット)間で結果にばらつきが生じる。そのため、異なる装置やタイミングで測定された検体の網羅的データの比較やマージは難しく、機械学習の適用は困難である。また、標的物質の定量的MSにおいては、複数の標的物質毎に標準物質を用意することは煩雑であり、また尿は検体間で濃度変動が大きく、定量値の比較は難しい。これらの複合的な要因によって、MSによる網羅的データをがんの検出に活用することは困難であった。一方、がん細胞・組織は、多様性をもつため、特定の腫瘍マーカーで検出することは難しく、メタボローム解析による網羅的データを最大限に活用して診断予測することが望ましい。
本発明は、異なる装置やバッチで測定されたMS網羅的データの比較やマージを可能とし、尿検体間の濃度変動の影響を受けない解析方法および機械学習モデルである。本発明により、未知の患者尿のMSデータによるがん・がんサブタイプの診断予測が可能になる。また、他のモダリティを使ったマルチオミックス解析を用いた診断予測にも適用可能である。
Expectations
- 胆道がんの検出を目的に、被験者の尿中のMSメタボローム解析データに本発明を適用し、2021年に得られた解析データを用いて機械学習モデルを構築した。2022年に得られた解析データについて前向き研究を行ったところ、高い感度と特異度を示した(図)。他に膵がんや胃がんの診断においても同様の結果の感触を得ている。
- プログラム開発・専用装置開発・コスト検証を進めるため、メタボローム解析企業・MS装置メーカー・診断薬企業・臨床検査企業・解析プログラム企業等の協働パートナーを募集中。
- 健診による早期がん検出や、個別化医療のためのサブタイプ診断予測への適用を目指している。
Publications
- 学会発表(第82回日本癌学会学術総会2023)
Researchers
馬場 泰輔 先生(名古屋大学医学部附属病院)
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