既存の甲状腺ホルモン(TH)アナログ化合物よりも優れた低分子化合物であり、NASH・脂質代謝異常症・肥満の治療薬に適用可能
Advantages
- 新規合成化合物
- 高いTHRβ選択性
- 高い安全性
Background and Technology
THRにはαとβの2つのサブタイプが存在する。リガンドであるTHは、THRαに結合すると不整脈、筋肉・骨量の低下といった悪影響をもたらす一方で、THRβを介して肝臓におけるコレステロール代謝を活性化させたり血中脂質濃度を減少させたりすることが知られている。したがってTHRβに選択的に結合するTHアナログは、NASH、脂質異常症、肥満等に対する副作用の少ない優れた治療薬となる可能性がある。これまで知られているTHRβ選択的なTHアナログの代表的なものとして、GC-1(Sobetirome)やGC-24が挙げられる。特にGC-1のTHRβ選択性は多数の動物モデルで実証され、新規コレステロール低下剤として臨床試験が行われたが、毒性の問題で中止されている。
私たちは、THRβに対する高い親和性および選択性を有する新規なTHアナログ化合物の開発に成功した。受容体との結合に有利なコンフォメーションを維持しつつ疎水性を高めた構造により、in vitroおよびin vivoにおいてTHRβに対する高い選択性を実現した(左下)。 また、 高脂肪食肥満マウスモデルに経口投与したところ、脂質代謝改善効果を示し(右下)、高濃度投与で毒性を示さなかった。
Expectations
- 現在は、新規化合物をデザイン・合成し、研究室レベルでin vitroおよびin vivo実験により基礎的な薬効・安全性を確認した段階
- 今後は、本化合物の治療薬としてのポテンシャルを評価するフィージビリティスタディを行いたく、一緒に取り組むパートナー企業を募集中
Publication
- 学術論文投稿中
Patent
- 特許出願済
Researcher
吉村崇 教授 (東海国立大学機構 名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所)
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