眼内に移行したトキソプラズマ原虫の硝子体液中バイオマーカーを特定し、簡易迅速診断方法と眼内投与治療方法を開発
Advantages
- 網膜脈絡膜炎においてトキソプラズマ性を簡易かつ迅速に診断できるキット
- 上記診断に基づいて選択される眼内投与治療薬(既存薬のリフォーミュレーション)
Background and Technology
トキソプラズマ症は、細胞内寄生原虫トキソプラズマの感染で起こる人獣共通感染症である。加熱不十分の肉やネコの糞便等から感染(後天性トキソプラズマ症)、または妊婦の感染により胎児へ感染(先天性トキソプラズマ症)し、世界人口の1/3、日本では成人の20-30%が感染していると推測される。健康な成人では症状がなく(潜伏感染)、免疫が弱まった際に、トキソプラズマによる脳炎・網膜炎・心筋炎等を発症することがある。眼トキソプラズマ症(トキソプラズマ性網膜脈絡膜炎)は、トキソプラズマ原虫が血流に乗って眼内に入り、強い炎症を起こして網膜が変性して視力低下が起きる。潜伏感染が多いため抗体価ではトキソプラズマ症を診断できず、硝子体液のトキソプラズマ遺伝子PCR検査でも検出率は20-30%程度であるため、眼底検査で炎症が見られれば、抗生物質を投与して効くかどうかで判定している。患者は、日本ではそれほど多くないが、南米やアフリカでは多く、特に南米では眼トキソプラズマ症患者の24%が少なくとも片眼での法的失明状態に至っていると報告されている。
私たちは、眼内に移行したトキソプラズマ原虫の性質に関する知見をベースに、ヒト硝子体液中のバイオマーカーを特定し(左図)、簡易迅速検査方法を開発した。更にそれに基づく眼トキソプラズマ症の新たな治療方法を開発した(右図)。
Expectations
- 現在までにヒト検体と動物実験でコンセプトを実証し、メカニズム詳細を検討中。また、簡易迅速検査に用いるデバイスを検討中。
- 簡易迅速診断キットと治療薬を開発する協働パートナー企業を募集中。CDA締結のうえ詳細情報を開示することが可能。
Patent
特許出願中(未公開)
Researcher
兼子裕規 准教授(名古屋大学医学系研究科)
Please click here to see English summary.
以下のフォームからお問い合わせください