体液中の細胞外小胞の遺伝子コピー数プロファイルにより、卵巣がん治療薬のPARP阻害剤に対する感受性を判定する。
Advantages
- 卵巣がん患者について、リキッドバイオプシーによりPARP阻害剤治療の奏功を的確に予測できる。
Background and Technology
近年、卵巣がん維持療法の分子標的薬としてPARP(poly ADP-ribose polymerase)阻害剤が承認された。従来の分子標的薬としてVEGFR阻害剤があるが、今のところ明確な薬剤選択基準はない。卵巣がん患者へのPARP阻害剤治療の奏功を判定する検査としてMyChoiceⓇが使われているが、十分とはいえない。MyChoiceⓇは、乳がん患者のBRCA1/2遺伝子変異における遺伝子HRDエラー解析によるHRD Scoreを基にPARP阻害剤のレスポンダーを判定する方法である。
PARP阻害剤は、遺伝性卵巣がんには効果があるが、孤発性ではレスポンダー診断が必要である。最近になって卵巣がんにはがん関連遺伝子のコピー数が問題であることが報告されている。私たちは、卵巣がん維持療法患者にPARP阻害剤を3年間程度投与し、レスポンダーとノンレスポンダーの各グループについて、ドロップレットデジタルPCRを用いて組織中および体液中エクソソームにおけるがん関連遺伝子のコピー数を解析した。その結果、特定遺伝子のコピー数により、PARP阻害剤の感受性を判定できることを見出した。
私たちは、この他にも婦人科疾患に関する様々なマーカーや治療薬候補、および細胞外小胞について研究している。
Expectations
- 現在は、卵巣がん患者に対するPARP阻害剤治療の奏功を予測する複数の遺伝子コピー数マーカーを同定した段階。
- 今後、更に解析症例数を増やして、マーカーの絞り込みや判定に信頼性を高めていく計画。
- 協働パートナーとして、PARP阻害剤を開発している創薬企業、ドロップレットデジタルPCR装置企業や診断サービス企業を募集中。
Patent
- 特許出願中
Researchers
横井 暁 (東海国立大学機構 名古屋大学 医学部附属病院 産科婦人科)
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