無方向性電磁鋼板の製造方法

2025/10/02 10:24 - By Tech Manage

理想的な集合組織形成メカニズムにより高磁束密度・低鉄損を実現

Advantages

  • 熱処理が不要であり、高温圧縮のみの単一加工プロセスにより、従来材料の板面内での360°均一の<001>軸配向を実現する、性能高度化の技術である
  • ヒステリシス損を劇的に低減できるモーター用として理想的な材料を高効率に製造可能
  • 本発明の集合組織形成メカニズムにより、理想的な集合組織を形成できる

Background and Technology

EVや産業用ロボットの高性能化に伴い、その心臓部であるモーターのさらなるエネルギー損失(鉄損)の低減が極めて重要な課題となっている。しかしながら、モーター鉄心に使われる無方向性電磁鋼板は従来、結晶配向を立体的にランダムにしてきたため、磁化容易軸<001>が板面に沿わず、磁束密度が不足してヒステリシス損による鉄損が大きく、高効率化に限界があった。
本発明者は、Fe-Si系などBCC固溶体金属を対象に、熱間単軸圧縮加工により、板面に沿って<001>軸が360°均一に配向した<100>繊維集合組織を形成する革新的製造法を開発した。優先動的結晶粒成長(Preferential Dynamic Grain Growth: PDGG)メカニズムと命名されたこの手法は、特定結晶方位の結晶粒が変形中に優先的に成長する現象であり、転位構造や溶質原子の作用により誘起される。PDGGの活用により、新たな材料を開発することなく、圧縮加工のみで理想的な集合組織を実現できるため、熱処理工程短縮によるコスト削減が可能であり、EV駆動モーターや発電機の効率向上に貢献する。

Data

  • Fe-3%Si合金に対し、900°Cの条件で単軸圧縮加工を行ったところ、板面に沿った<001>配向密度が従来比約20倍に増加した。

Expectations

テックマネッジ株式会社では、大阪大学からの委託により、EV・家電用高効率モーター向け電磁鋼板の共同開発・実証試験など向けに、本発明技術にご関心をお持ちいただける企業の探索を行っています。大阪大学との秘密保持契約締結による、本発明に関連した未公開データ等の開示や、また、研究者と直接のご面談によるお打ち合わせも可能です。ご希望がございましたらお気軽にお問い合せください。

Patents

特許第5492975号

Publication

Researchers

福富 洋志 特任教授 (大阪大学 大学院工学研究科)

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