”食べる光””出す光”の制御で、陸上養殖の成長速度を高める
Advantages
- 特定の光波長でウニ幼生の「食べる(摂食)」と「出す(排泄)」のサイクルを制御し、陸上養殖の早期成長に貢献
- 従来の経験則ではなく、「光が消化管を直接制御する」メカニズムを基礎研究レベルで解明した学術的優位性が最大の強み
- ウニ幼生で実証した原理は生物全般に共通すると確信しており、ナマコや魚類、さらには精密畜産分野への応用も目指す
Background and Technology
持続可能なタンパク源として陸上養殖への期待が高まる一方、育成期間の長さやコストといった事業採算性が大きな壁となっている。特に海水温上昇による天然ウニの激減を背景に、効率的な陸上養殖技術が求められている。この課題に対し、谷口先生の研究チームは、ウニ幼生を用いた基礎研究において、光が生物の「消化活動」を直接コントロールする洗練された神経システムを世界で初めて発見した。
本技術の核心は、光波長への特異的な応答性にある。 ウニ幼生は、青色光の照射によって「食べる」ための幽門(Pylorus)が特異的に開き、一方で緑色光や黄色光を含む、より長波長の光によって「出す」ための肛門(Anus)が開くことが示された。この学術的知見に基づき、"食べる光"と"出す光"をプログラム化して動的に照射することで、摂食と消化・排泄のサイクルを人為的に最適化し、陸上養殖の「成長速度を高める」ことを目指す。これは、生物の生理機能に能動的に介入する、世界初の光源技術である。
Data
ウニの幼生が、外部からの光に反応し、消化管の「入口(幽門)」と「出口(肛門)」の開閉を制御する洗練された神経システムを持つことを世界で初めて発見
- 幽門(食べる):青色光(Blue, 460 nm)に対して顕著な依存性を示し、特異的に開口
- 肛門(出す): 青色光(460 nm)に加え、緑色光(Green, 520 nm)や黄色光(Yellow, 555 nm)といった、より長波長の光に対して幅広く反応し開口

Partnaring Model
本技術の核心である「光制御システム」を確立するため、光の波長・光量・照射タイミングやサイクルなどを精密に制御できるLED照明(光源システム)の試作品開発から共同研究をスタートできる、LEDメーカーや機器開発企業を募集している 。
<連携のイメージ>
- 試作と検証(ラボスケール): まず、本技術コンセプトの実証に必要な30センチ程度(ラボスケール)の照明装置を貴社に試作いただく 。その装置を用い、谷口先生がウニ幼生での基礎的な検証実験を行う。
- 実証と最適化(スケールアップ): ラボでの成果に基づき、北海道の種苗センター(例:1tタンク)など、実際の養殖現場に近い環境での大規模実証へとスケールアップする 。実証データを基に、システムと制御プロトコルの最適化を進める。
<共有したいゴール>
パートナー企業様とは、「ウニ幼生」での実証を第一歩とし、その先の「ウニの完全養殖」や、市場価値の高い「ナマコ・魚類」といった他種への技術展開 、そして最終的な「陸上養殖の事業化・効率化」というゴールを共有し、共に目指す。
Patents
特許出願中
Researchers
谷口 俊介 (筑波大学 生命環境系 下田臨海実験センター 准教授 )
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