収穫後の生モミに加熱処理をすることで白米部分の細胞壁構造が安定することで
消化酵素の作用が低下しデンプンからグルコースに分解される速度のみを調節できる
Advantages
- 温湯浸漬処理以外は、通常の乾燥、籾摺り、精米の工程で加工される
- 炊飯後のごはんの外観や食味はほとんど変化しない
- 糖尿病・予備軍の方も血糖値スパイクを気にせずに美味しいごはんが食べられる
難消化精米(sGI-MH米:suppressed GI by Mild Heat)
※香気成分・・許容範囲内の変化
※咀嚼性・・・大きな違いがない
※外観・・・・問題の無い色調
※官能試験・・差異はあるが問題の無い風味
Background and Technology
平成19年度国民健康・栄養調査(厚生労働省)によると40歳以上の3人に1人(約2200万人)が糖尿病または糖尿病予備軍であることが明らかになっている。糖尿病または糖尿病予備軍の人には糖質摂取を抑制して血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)を起こさないような食事である糖質制限食が推奨される。糖質摂取を抑制するために、米食においてはでんぷん質を改質した製品や消化酵素の作用を抑制する成分を含んだものやサプリメントが提案されている。しかし、デンプンを改質することで食味を損なうことが問題であり、消化酵素の作用を抑制する成分は基本的な効果が弱く時に腹痛など体調不良を誘発することがある。
発明者の小川先生(千葉大学)はポストハーベスト処理による微細構造や栄養成分の変化を研究している中で、収穫後のコメ(生モミ)を加熱することで細胞壁構造が安定し消化酵素によるグルコースへの消化率が低下することを見出した。さらに、食味や外観などを損ねない加工処理として65℃の湯に浸漬してから乾燥→精米する方法に至った。この製法で加工した米(sGI-MH米)はリアクターによる模擬消化系においてデンプンへの加水分解速度が約1/2に低下し、簡易のヒト試験においても未処理米の摂取時と比較して血糖値のピークが抑制された。
Data
- 消化模擬リアクターによる炊飯後の米の消化率の比較(上)食後の血糖値上昇の比較(下:被験者1名による予備的なデータ)
Expectations
本発明技術をもとにして、新しい低GI米の共同開発に関心のある企業様を求めています。米穀の関連企業、外食産業、医療介護食開発企業とのコラボレーションを歓迎いたします。
Patent
特願 2021-170635
Researcher
小川幸春先生(千葉大学大学院 園芸科学研究科)
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