抗インフルエンザウイルス薬

2023/06/14 20:59 By Tech Manage

インフルエンザウイルス複製開始プロセス(cap snatching)に必須の宿主酵素MTr1を特異的に阻害する抗インフルエンザウイルス薬

Advantages

  • 従来の抗インフルエンザウイルス薬と全く違う標的、併用による相乗効果
  • 宿主酵素を標的とするため薬剤耐性が出現しにくい

Background and Technology

一部のウイルスファミリーの複製においては、宿主のRNAの一部を乗っ取って、自身の複製を可能にするcap snatchingと呼ばれるプロセスが必須である。特にA型およびB型インフルエンザウイルス(IAVおよびIBV)は、cap snatchingを行う前に、宿主のMTr1(2′-O-リボースメチルトランスフェラーゼ1)によるCAP RNAの成熟を必要とする。
従来の抗インフルエンザウイルス薬は、特定のウイルスタンパク質に直接作用するため、ウイルス遺伝子の変異により薬剤耐性が出現しやすいという弱点がある。私たちは宿主のMTr1を阻害し、インフルエンザウイルスの複製を抑制する抗ウイルス薬のスクリーニングを実施し、TMFT(トリフルオロメチル-ツベルシジン、Streptomyces由来の天然物誘導体、左図)を開発した。TMFTは、IAVおよびIBVの複製を特異的に抑制し、細胞毒性を示さなかった(中央・右図)。


Expectations

  • TFMTは、特異的で無毒なMTr1阻害剤であり、cap snatching依存性ウイルスであるIAVとIBVの複製を特異的に抑制することを実証し、そのメカニズムを解明した。また、既存抗IAV薬であるXofluzaとの併用による相乗効果を確認した。
  • TMFTをベースとした、またはCap Snatchingを標的とした抗インフルエンザウイルス薬の開発に興味をもつパートナー企業を募集中。
  • CDA・MTA・共同研究による評価/フィージビリティスタディが可能。

Publication

Patent

特許:出願済(未公開)

Researcher

五十嵐学 准教授 (北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所)


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