細胞老化およびBRONJの治療・予防薬

2023/06/07 14:25 By Tech Manage

特定のmiRNAを有効成分とする細胞老化およびビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)の治療・予防薬

Advantages

  • これまで治療・予防方法のなかったBRONJに対する新たな治療・予防薬

Background and Technology

ゾレドロン酸(Zol)等のビスフォスフォネート系製剤(BP製剤)は、骨粗鬆症やがんの骨転移などに対し有効なため広く用いられている。BRONJは、BP製剤を投与されている患者に発生する特徴的な顎骨壊死であり、同薬剤長期投与による骨代謝抑制に起因する医原性疾患です。歯科治療に関連する合併症として発症することが多く、抜歯などの口腔外科手術や歯周治療後に創傷治癒が正常に機能しない事により発生する。具体的な症状は、歯肉の痛み・腫れ・歯骨露出・化膿・腐骨・顎の脱落等である。発症頻度は、経口薬で1万人に1~4人、経静脈薬で100人1~2人程度といわれている。また、デノスマブ(抗RANKLモノクローナル抗体製剤)でも発症する。
私たちは、Zolが細胞老化を招くことによりBRONJを引き起こす可能性、および骨髄由来間葉系幹細胞由来細胞外小胞Extracellular vesicles(MSCs-EVs)が細胞老化に対し抑制的に働くことを発見した。更に、MSCs-EVsに特異的に含まれる特定のmiRNAが、Zolによる細胞老化を抑制し顎骨壊死を防ぐことを実証した。

Expectations

  • 特定のmiRNAが、Zolによるラット骨髄細胞の増殖低下を抑制し、老化遺伝子等の発現増加を抑制した(in vitro)。
  • ラットBRONJモデル(Zol+抜歯)に、特定のmiRNAとアテロコラーゲンの複合体を静脈内投与したところ、顎骨壊死を抑制した(n=6、in vivo、図)
  • 特定のmiRNAを有効成分としたBRONJの治療・予防薬の開発に取り組むパートナー企業を募集中。
  • 骨粗鬆症患者へBP製剤を投与開始する際にBRONJリスク(歯科合併症等)の判定をするので、リスクの高い患者に本薬剤を予防的に投与する、または、経過観察中の発症早期に、治療薬として投与する方法が考えられる。

Patent

特許出願済(未公開)

Researchers

渡邊 純奈 助教、酒井 陽 助教(名古屋大学大学院医学系研究科)


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