妊娠転帰と相関する卵胞液のmiRNAマーカーを指標にして卵子を選抜することで妊娠率の高い不妊治療を提供することが可能になる
Advantages
- 卵胞液のmiRNAの発現量を指標に生児を得る確率を予測可能
- 卵子・受精卵毎の保管・凍結判断の指標にもなる
- 視覚所見によるグレード判断とは異なる質的な評価が可能
Background and Technology
日本で子供が欲しいと思うカップルの10-15%が不妊と言われており、生殖医療における ART(生殖補助医療=顕微授精・体外受精)の重要性、および必要度は高まっている。近年、 ARTが保険承認され、不妊治療を受ける人口が増加することが想定されている。
ARTの一般的な流れとしては1)排卵誘発剤によって卵巣内の卵胞を複数成熟させ、卵胞の穿刺によって卵胞液を得る。2)得られた卵胞液から卵子を回収し、培養液中もしくは顕微鏡下で精子と受精させ受精卵を得る。3)複数の受精卵が得られた場合には目視のグレード判定基準によって、グレードの高い受精卵を1-2個選抜して子宮に戻す。4)グレードの高い受精卵が残っている場合には凍結保存する場合がある。
ARTにおいて妊娠にいたる受精卵の選抜は重要であり、視覚所見による受精卵のグレード評価がなされており、顕微鏡画像とAIを組合わせた評価技術も開発されているものの、質的な評価という点では不十分である。また、卵子の質に注目して分子マーカーを比較している研究もあるが、妊娠転帰に至る研究はほとんどない。
発明者らは採卵時に得られる卵胞液中のEV(Extracellular Vesicle)中のsmall RNAに注目して網羅的解析を行い、妊娠・生児を得るに至った受精卵に特徴的に発現するmiRNA群を同定した。採卵時の卵胞液中EVを解析することで、適切な卵の客観的な評価を行えることで、凍結卵の選択や、移植胚の選択など、重要な選択基準に寄与できることが期待される。
Data
- 妊娠に至った卵子(Pregnancy)と至らなかった卵子(Non-Pregnancy)の卵胞液におけるEV中のmiR-16-2-3p, miR-378a-3p, miR-483-5pの発現(A)と3種のマーカー発現と妊娠転帰の相関(B)
Expectations
本発明のmiRNAマーカーの実用化に取組む診断薬企業を求めています。miRNAやEVの解析が得意な企業との共同開発に期待しています。また、本発明のバイオマーカーの有用性を実証するための共同研究に協力いただけるレディースクリニックの参画も歓迎します。
Patent
特許出願中
Researchers
横井 暁 先生、梶山 広明 先生(名古屋大学・産婦人科)
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