早期食道がんの外科手術か内視鏡適用かを判断する治療選択バイオマーカー

2021/02/05 13:05 - By Tech Manage

現状30%以上の患者に実施されている過大治療を回避できることから臨床的なニーズが高い

Advantages

  • 現在主観的に行われている食道癌の進行度とくに粘膜下層浸潤の有無を客観的に評価できる
  • 2つのバイオマーカーを組み合わせた判定で感度80%、特異度93.3%、正診率90%
  • 微量の血清サンプルで検査可能

Background and Technology

 食道扁平上皮癌患者は国内年間約3万人で、早期段階での診断は少なくとも数千件である。基本的な治療は外科的切除であるが、早期食道癌の一部は内視鏡的切除で根治可能である。早期食道癌のうち、癌細胞が粘膜内にとどまるものが内視鏡切除の適応、粘膜を超えるものが外科的切除の適応となる。臨床では内視鏡的に食道癌の形態を詳細に観察することにより、経験的に癌の深達度を判断するが、その正診率は概ね約60~70%であることから、約3~4割の症例では複数回の治療もしくは、過大治療が行われていることが問題となっている。

 発明者らは患者の血中濃度と癌の粘膜下層浸潤と関連するタンパク質について解析し、粘膜下層浸潤と相関するバイオマーカーを見出した。本マーカーによる客観的な判断によって過大治療や、追加手術を減らし、医師・患者の負担を減らすことが期待される。
Data
  • 食道扁平上皮癌患者の深達度pT1(癌細胞が粘膜内に留まる内視鏡切除適応)28名について術後度病理検査結果(内視鏡適応17例、手術適応11例)と血中の血管新生関連マーカーの相関を解析したところ、2種のマーカーが高い相関を示した。
  • 生研で得られた腫瘍組織におけるバイオマーカーのmRNA発現においても、内視鏡適応病変と手術適応病変で有意な差が確認された


Researcher
志村 貴也 講師(名古屋市立大学・大学院医学研究科消化器・代謝内科学)

Patent
特許出願中

Expectations
公的グラントに申請し、前向きの多施設臨床研究を行う予定。臨床研究における検体管理や血中のバイオマーカー測定等を協力・受託いただけるパートナー企業を求めている。また、発明者は病理検査用ツール・研究用試薬/キット化を進めたい考えており、開発に協力いただける企業を求めている。
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