アミド化合物やペプチドの合成用触媒

2023/06/15 21:02 - By Tech Manage

カルボン酸とアミンのアミド脱水縮合反応において、
縮合剤を使用しない環境調和型反応を実現する安価かつ反応性の高い触媒システム

Advantages

  • ホウ酸と添加剤の組み合わせによる触媒であり、これまで研究開発が進められてきたボロン酸触媒よりも安価。
  • 本反応の副生成物は水のみであり、縮合剤由来の廃棄物を生じない。
  • 添加剤であるα-ヒドロキシカルボン酸誘導体の改変により、さらなる触媒活性の向上が期待できる。
  • 添加剤のデザインにより、様々な種類のカルボン酸・アミンの反応への適応が期待できる。
  • 本触媒システムは、目的とするアミド化合物を高収率で合成できることが期待される。

Background and Technology

カルボン酸とアミンの脱水縮合反応で生成するアミド結合は、ペプチドや低分子化合物、ナイロン・アラミド樹脂などの高分子化合物などさまざまな化合物に含まれており、医農薬品や化成品などの製造において重要な反応である。
アミド結合の合成法では、縮合剤を用いた反応が一般的に使われており、医薬品合成でも用いられる信頼性の高い反応であるものの、縮合剤由来の副生成物やペプチド生成物のエピ化反応等が問題となっている。一方で、触媒を用いた反応は、副生成物が水のみであるため、理想的な反応として期待されている。名古屋大学 石原先生らは、ボロン酸触媒がアミド結合形成反応に有効であることを1996年に世界に先駆けて報告しており、環境調整性が高いことや高効率にアミド合成が期待できることから、様々なボロン酸触媒の研究開発が進展することとなった。また、安価なホウ酸を触媒とする反応も報告されていいたものの、高温条件を必要とする反応であるため、適応可能な化合物が限定されるといった問題点があった。
今回、研究者らは、安価なホウ酸を用いて穏やかな条件でカルボン酸とアミンの脱水縮合反応を進行させるために、検討を行い、αヒドロキシカルボン酸を添加剤として用いることで、穏やかな条件でカルボン酸とアミンの脱水縮合反応が進行し、高収率で目的のアミド化合物を合成できることを実証した。

Expectations

  • 本発明の触媒により、さまざまなカルボン酸とアミンの脱水縮合反応の進行を確認した。また、本触媒によるジペプチドの合成も確認した。
  • 添加剤の改良により、触媒の活性が向上することを確認しており、さらなる活性向上を目指し、添加剤を改良中。

本触媒を利用したアミド合成にご興味のある企業を探索しております。従来の縮合剤を利用した反応からの脱却にご関心のある縮合剤メーカーでのご活用なども期待されます。
なお、ご興味お持ちいただけましたら、次のステップとして、石原先生も交えたweb面談等をご提案いたします。企業様が指定するアミド化合物の合成などのフィジビリティスタディのご希望ございましたら、具体的な進め方について、研究室と相談いたします。

Patent

出願中

Researcher

石原 一彰 教授 (東海国立大学機構 名古屋大学 大学院工学研究科) 

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