ストリッパー分子を必要としないタンパク質リフォールディング試薬
Advantages
- シクロデキストリン等のストリッパー分子が不要なので、使用後は遠心分離によるシャペロン分子の除去によるタンパク質の精製が可能
- 3種類の酵素タンパク質で効果を実証済み、疎水性、相転移温度の調節で、様々な性質のタンパクへ適用可能性
- 人工シャペロンはポリビニルアミンから簡易なプロセスで製造可能
Background and Technology
ポリアリルアミン−co−ポリアリルウレア(PAU)の一部を脂肪酸Rでアミド化した高温溶解型温度応答性高分子からなるタンパク質の凝集抑制、またはリフォールディング促進剤(左図)
タンパク質の安定化剤・リフォールディング剤が多く提案されているが、効果・汎用性・試薬の除去の手間などにおいて課題を有する。
本技術は、上限臨界溶液温度型(Upper Critical Solution Temperature;UCST型)高分子であるPAUを応用した人工シャペロンである。側鎖の一部に脂肪酸を付加することで疎水性を向上し、疎水部を露出する変性タンパク質への吸着力を持たせた。PAUと複合化した変性タンパク質は相転移温度付近では液胞を形成し、水相との界面で正常なフォールディング形成後に水相に移行する。更に温度を下げるとPAUは完全に水と相分離し、遠心分離で分離できる(右図)。
複数タンパク質で実証済。重合度、ウレイド基導入率、脂肪酸の選択/導入率の調整による相分離温度・疎水性の最適化で、リフォールディングが困難なタンパク質へも対応できる可能性がある。
Data
炭酸脱水酵素で実証(加熱変性後に活性が80%以上に回復)
その他に2種類の酵素で同様の効果を確認
Expectations
本技術を活用いただく試薬販売企業、ユーザー企業を求めています。サンプル提供応相談。
Publications
Biomacromolecules 2022, 23, 9, 3860–3865(https://doi.org/10.1021/acs.biomac.2c00694)
Patents
- 特開2019-196416(国内のみ)
Researchers
東京工業大学 生命理工学部 丸山厚教授、嶋田直彦助教
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