肺マイクロバイオーム解析による肺疾患予防・吸入治療・予後診断技術の協働開発

2021/09/13 18:57 By Tech Manage

〜新領域“肺細菌叢”解明による呼吸器疾患へのアプローチ〜

Advantages

  • 臨床検体(間質性肺炎の気管支肺胞洗浄液、手術肺組織)から得られる細菌叢解析可能
  • 既に、特発性肺線維症(IPF)と関連する菌種を同定し、予後/急性増悪診断・治療に向けて検討中
  • 肺サーファクタントタンパク質による吸入治療の可能性を探求
  • 肺癌、気管支喘息、COPD、サルコイドーシス等呼吸器疾患全般における解析を検討

Background and Technology

 これまで健常肺は無菌と信じられてきたが、近年の分子生物学の進歩により、肺にも多彩な細菌叢が存在することが明らかにされつつある。健常肺の細菌群は、不顕性誤嚥などによる流入や繊毛運動などのInnate immunityによる流出で、ほぼ一定に維持されている。炎症や線維化などの肺内環境変化により、特定菌種の増加や多様性に変化が生ずると指摘され、近年、喘息・COPD・肺癌などの呼吸器疾患と肺マイクロバイオームとの関連性が報告されている。

 本研究では、特発性肺線維症と診断された患者34例とその経過別に、細菌叢の多様性、構成する細菌の種類・そのバラエティが解析された。また並行してブレオマイシンで誘導される肺線維化マウスにおける肺マイクロバイオームの解析も行われた。その結果、IPFにおいて「Firmicutesの増加」、「Proteobacteriaの減少」、「細菌多様性の低下」が早期死亡や病勢悪化と関連することが認められた。今後、これらを活かし、特定菌種をターゲットとした呼吸器の吸入治療も視野に入れた治療による線維化進行抑制、もしくは菌相解析による急性増悪の予測/IPFの予後予測の確立を目指した詳細研究が予定されている。 

また、同学内研究において、下記研究プロジェクトが進行中である。
  1.  特発性肺線維症とその他の間質性肺炎における呼吸器細菌叢についての前向き研究 (IRB承認番号 272-174)
  2.  間質性肺炎合併肺癌の手術検体を用いた線維化病における局所細菌叢の解析 (IRB承認番号 292-243)
  3. 重喫煙者における肺マイクロバイオームについての前向き観察研究 (IRB承認番号 292-178)
  4.  肺の自然免疫(特に肺サーファクタント蛋白質)の肺マイクロバイオームに及ぼす影響 (動物実験計画書18-020)

Expectations

本研究やその成果にご関心のある企業との、共同研究や開発コラボレーション、または研究支援を希望しております。まずは本開発テーマの可能性に関する情報交換・ディスカッションを希望します。

Publications

Takahashi Y, Saito A et al. Impaired Diversity of the Lung Microbiome Predicts Progression of Idiopathic Pulmonary Fibrosis. Respiratory Research 2018, 19:34.

Researchers

札幌医科大学 医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座 助教 齋藤充史


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