ウイルス検出から食品・薬剤検査まで、網羅的表面増強ラマン散乱(SERS)検出系

2021/06/21 11:14 By Tech Manage

〜ナノゲルカプセル封入による新メカニズムSERSタグ〜

Advantages

  • 微量検体10fg/mL(=10-8ppm)を、液クロ・ガスクロを用いず高速検出
  • 金・銀粒子との親和物質に限定されず、化学物質・ウイルスを幅広く検出可能
  • 従来SERSタグの凝集を解決する、全く新たなメカニズムで設計されたタグ構成

Background and Technology

ラマン分光法は、ラマン散乱光を分光して得られるラマンスペクトルによって分子レベルの構造や濃度等を解析できる手法だが、この散乱光は不安定で微弱な光であるため、それを増強する技術として表面増強ラマン散乱(SERS)が開発された。SERSとは、金・銀などの貴金属ナノ構造体に吸着した分子からのラマン散乱光が何億倍にも増強される現象である。

しかしながら、SERSの感度は、金属ナノ粒子の集合体や構造に依存するため再現性の低さ、凝集性による基板上に電場増強の起こるホットスポット形成が困難な課題があった。また、金属基板を使うため酸化しやすいことや、光照射で熱が発生し生体分子への応用が困難だった。近年では、ではなく構造共鳴や電荷移動共鳴を利用するシリコンやゲルマニウムナノ構造体などの非金属材料も提案され、金属由来の問題は解消されたが、光触媒効果や物質の毒性の効果もあり再現性の向上には課題が多い。

  本発明は、SERSを用いて、あらかじめpH応答性の「金属ナノ構造体」と「分子」の組み合わせを合成しておき、ナノ構造体と分子に付与した標的特異的プローブ(抗体やケミカルプローブ)で検出した後に、pHコントロールによってナノタグを放出し、ホットスポットを形成することでSERS強度が検出可能となる。


<本ナノゲルカプセル化タグと検出概要> 

Data

 E型肝炎ウイルス様パーティクル(HEV-LP)の希釈濃度系列を作製(10 fg/mL – 1.0 ng/mL)し、SERSナノタグのシグナル応答を確認したところ、HEV-LP濃度依存的にラマンシグナルが増加した(a)。これは、より多くのSERSナノタグが放出され、ターゲットHEV-LPの濃度が高くなると「ホットスポット」クラスターを形成することを意味する。この結果を基に、1098 cm–1での4-MBAの特徴的なラマンバンドを使用して、SERS強度とHEV-LPの濃度の検量線を作成した(b)。HEV-LPの検出限界(LOD)は、PBSで約6.5 fg/mL(相関係数0.99)であった。

Expectations

 本SERS検出汎用性ナノタグ構成の開発・製品化にご関心のある企業へのライセンス、またはSERSナノタグ構成の使用にご関心のある企業との開発コラボレーションや共同研究を希望しております。

Publications

Patents

 出願中(未公開)

Researchers

 静岡大学グリーン科学技術研究所教授朴 龍洙 他


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