新規の網膜変性疾患治療剤

2021/01/22 19:05 By Tech Manage

低分子化合物による低酸素誘導因子(HIF)抑制

Advantages

  • 投与方法や治療コストにおいて、メリットの高い治療法 
  • 天然物由来の化合物で、HIF 阻害活性を in vitro で確認済み
  • 酸素誘導網膜症(OIR)in vivo モデルで、経口投与による高い効果を確認済み(一部化合物)

Background and Technology

 現在、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration: AMD)や糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy: DR)は、日本の失明原因の上位を占め、患者数は増加傾向にある。その共通する病態として、病的な血管新生という特徴がある。
これまで、抗血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法が確立され、一定期間においては完全矯正視力の改善・維持が得られるようになったが、治療期間が長期であり且つ効果維持期間が短く、患者・医療関係者の負担が大きいことや、高額な医療費、合併症、視力改善困難な症例があること等、課題が存在する。 

 慶応大学研究グループでは、網膜組織内で HIF が異常に発現増加することで、病的な血管新生を促進し、これらの疾患を増悪させうることを報告し、海洋生物の抽出物などによる HIF 抑制活性物質を同定した実績を持つ。
た、静岡大学研究グループでは、きのこなど天然物由来の化合物を幅広く取得・保有し、それらの様々な活性を見出してきた。 

 今回、両研究グループの共同研究により、新規化合物を含む複数化合物の新たな活性として、HIF 阻害活性が 3 種類の網膜細胞株で確認され、その一部化合物で、糖尿病性網膜症のモデル動物・OIR in vivo モデルに経口投与した結果、病的な血管新生面積がコントロールに対して 20%も減少する、という実証結果が得られた。
また、本化合物の投与に よる体重変化や、無血管領域の優位な変化が無いという結果も取得済である。

Data


網膜細胞株(3 種)を用いて、各細胞を塩化コバルト (CoCl2)で低酸素誘導することによって、HIF 阻害活性 を示す複数の化合物が見いだされた。 


一例として、RH-661W 株で、本化合物の一部 1、2、9、12 の HIF 阻害活性を棒グラフ(青)で示す。 

棒グラフ(赤)は HIF を誘導し阻害剤を添加しないデータ、 (黄)は下記の既知 HIF 阻害剤の阻害活性データで、本 化合物との比較として示す。 


Topo:トポテカン(HIF 阻害剤)

DXR:ドキソルビシン(HIF 阻害剤)

Patent and Publication

国内出願済(特願 2020-103954)

Kurihara T, et al. Hypoxia-Inducible Factor Inhibitors Derived from Marine Products Suppress a Murine Model of Neovascular Retinopathy. Nutrients 2020, 12, 1055

    Researcher

    国立大学法人静岡大学、学校法人慶応義塾

    Expectations

    本治療薬開発・製品化のためのライセンシー、または更なる開発のための共同研究パートナーを探しております。

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